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工藤 博司; 奥野 健二
Radiochimica Acta, 33, p.223 - 237, 1983/00
リチウム化合物中に生成するトリチウムの化学挙動研究の一環として、炭化リチウム(LiC)からのトリチウム放出挙動を調べた。中性子照射したLiCを真空中で加熱すると、生成したトリチウムの大部分(95%)はHTの化学形で気相に遊離する。予想に反して、炭化水素の化学形で放出されるトリチウムは少なかった(2.8%)。HTの放出速度は拡散律速反応として解析され、760~980Kの温度範囲で拡散定数はD=4.110exp(-93700/RT)cmsと表わされる。前指数係数の対数誤差および活性化エネルギーの誤差はそれぞれ0.5cmsおよび7.9kJmolである。この実験結果を、これまでに得られているLiO,LiOH,LiAlおよびLiNからのトリチウム放出挙動と比較しながら検討したところ、LiC中に生成するトリチウムはTの形を取り、Liとの間に強い相互作用を有することが示唆された。
落合 謙太郎; 枝尾 祐希; 河村 繕範; 星野 毅; 太田 雅之; 今野 力
no journal, ,
原子力機構の核融合中性子源施設FNSでは、固体増殖ブランケット模擬体系内に装荷したチタン酸リチウム(LiTiO)ペブルをDT中性子で照射し、ペブル内に生成したトリチウムについて、試料温度や回収ガス中の水分濃度に対するトリチウム回収効率と回収化学形(トリチウム水もしくはトリチウムガス)の割合について調べている。ベリリウムブロックとLiTiOブロックで構成した実験体系内に、LiTiOブロック層中にLiTiOペブル(Li: 7.59%)を67g程度充填したステンレス製のアッセンブリを挿入し、ペブルの温度を一定に保持したままDT中性子照射を行い、ぺブル内で生成したトリチウムを回収ガスによってオンラインで回収した。回収ガスは主に乾燥水素ガス1%を含んだヘリウムガス(He(H-1%))を中心に水蒸気濃度を変化させて、水蒸気濃度に対するトリチウム回収特性を調べた。水捕集型のバブラーで回収したトリチウムの量を液体シンチレーションカウンターで測定し、トリチウム水(HTO)とトリチウムガス(HT)とに分けて測定した。He(H-1%)回収ガスの場合、温度573-1073Kの範囲では、単位中性子発生数あたりのトリチウム回収量はペブル温度によらずほぼ同量で、核解析によるトリチウム生成量とよく一致した。一方、トリチウム化学形の比は温度で変わり、ペブル温度573Kでは全体の約40%しかHTで回収されないが、873K以上ではHT成分による回収が全体の95%以上になることがわかった。